「震災後、トマトの栽培を始めることになりビニールハウスを建てました。その時子供達が楽しそうに走り回っている光景を見て『妖精』のように見えたんです」
宮城県名取市にある美食農園Lafata(ラ・ファータ)半澤さんは、名取の希望を育むこの場に、イタリア語で”妖精”を意味する「ラ・ファータ」から名前をつけました。
仙台空港から飛び立つ飛行機の轟音にびくともしないビニールハウスは、海に面した風景の中で力強く

佇んでいます。ハウスの中では、蒸し暑い空間にも負けず、青々としたトマトの幹や葉がしっかりと背を伸ばし、日々成長しています。その生命力と迫力に圧倒されてしまった筆者です。

日差しの強い日には太陽光をぐんぐん浴び、ビニールハウスの中は灼熱の空間に。
夏の気候は年々上昇し、「今年はトマトを
作らない」と言う農家さんも少なくないようです。ですが、ラ・ファータのトマトを待ち望んでいる消費者へ届ける為半澤さんは毎日の天気とにらめっこし、ハウスの風通しや水分のあげ方など工夫し、試行錯誤しながらもトマト作りを日々進めています。
土地や気候に合わせた研究を進めるうちに、
半澤さんのトマトは

味わい深く、濃厚なトマト本来の美味しさのある実を実らせるようになったのです。
花が咲き終わったものを花殻(柄)と呼び、これらを取る作業を花殻摘みと呼ばれているようです。
花殻を残しておくと黒カビ、灰カビ、糸状菌の発生原因となるそうです。この大きなビニールハウスを一列ずつ横に移動しながら毎日手作業で取り除きます。
「センサー頼りじゃなく、実際触れて確かめる」
手間を惜しまず丁寧な管理を行う半澤さんの努力が、味わい深く甘く濃厚で美味しいトマトを生み出すのだと納得せずにはいられませんでした。

インタビューを進めていくうちに、興味深いお話を聞くことができました。
全ての植物には「生殖成長」と「栄養成長」の2つの成長があるというのです。
栄養成長で体を大きくした後に、種を残す生殖成長に切り替わる植物もあれば、両者が並行して起こるタイプの野菜もあり、トマトは後者となります。
栄養成長に傾きすぎると葉や茎が必要以上に伸び、花や果実が付きにくくなります。反対に生殖成長に傾きすぎると、果実は多く

付きますが葉や茎が弱体化し、成長が進むにつれて収穫量や質の低下という事態が起きてしまいます。どちらか片方に偏ると上記のような事態に陥り、子孫を残す働きをやめてしまうのです。
この2つの成長のバランスが何よりも重要で、バランスを保つには2つの成長のタイミングを状態を見ながら正しく管理する必要があり、ハウスの温度や水分、肥料の与え方の調整が必要不可欠となります。
今まで積み重ねてきた経験からそれらをいいバランスで調整することが何よりも大切だそうです。それができるかできないかが「プロの農家」の分かれ道となるとのことでした。

インタビューを通して半澤さんに「一番伝えたいことはなんですか?」とお聞きしたところ答えは『美味しいから食べて!』でした。
筆者もいただきましたがほんっとうに美味しいんです!
リピーターが多く、購入したお客さんが配った先でまたリピーターが生まれる「買って美味しい、もらって幸せ」なラ・ファータのトマト。
お客さんとの繋がりを大切にしている半澤さんだからこそ、この幸せの構図が生まれるのだと思います。

味の追求、そしてお客さんとの密な関係にこだわり続け、直売所での販売と飲食店との直接取引に力を入れている半澤さん。近くにいる人々が常日頃口にする食べ物の豊かさを守り抜く想いが、何よりも強い原動力となっているそうです。
今後も「こだわる」ことを軸にし、たくさんの方に食べてもらいたいとお話ししてくださいました。

筆者もいただいたトマトをその日の食卓に並べてみました。あまり進んで野菜を食べない娘が「もっととまとたべたい!」と手を伸ばしていました。
今まで食べたトマトの中で一番甘くて濃厚で「美味しい!」と口に出さずにはいられませんでした。

弊社の社長がよく口に出す「農家さんはアーティスト。作物は作品。」
初めてのインタビューに同行させてもらった筆者もその言葉を思い出し、深く心の中で頷きました。

大切に大切に育てられた貴重なトマトをナチュリノで使用させていただいていることを、改めて感謝した1日となりました。
旨みがぎゅっと詰まったラ・ファータさんの真っ赤なトマトが全国の食卓に並ぶ日を夢見て、筆者もこのトマトの素晴らしさを今後も発信し続けていこうと誓った日でした。


ナチュリノでは店頭販売のオムライスのソースにラ・ファータのトマトを使用しています。
夏にかけて、トマトのジェラートも販売になりますので気になった方は是非当店のインスタもチェックしてみてください◎